中村クリニック 泌尿器科

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乏尿・無尿

乏尿と無尿

尿量は飲食などによる水分の摂取量、下痢、嘔吐、高熱などによる水分喪失、および気温、湿度などの環境条件により変化しますが、健康成人の24時間尿量の平均は男性で1,500ml、女性で1,200mlといわれています。尿量の異常のうち、腎臓における尿の生成が少なくなり、1日尿量が400ml以下になった場合を一般に乏尿とよんでいます。これは腎機能の急激な低下をきたした急性腎不全に特有の症状であり、さらに尿量が極端に減少し1日尿量が100ml以下になった場合を無尿といいます。 乏尿や無尿と程度の差はあるものの、膀胱内の尿を排出できない尿閉との区別が必要です。尿閉の場合は膀胱に尿が緊満しているため、 はじめは強い尿意を自覚したり、のちには膀胱壁の過伸展により下腹部の激痛を訴えますが、無尿の場合はそのような症状はなく、膀胱内に尿がないのでカテーテルを挿入しても尿はほとんど排出されません。

乏尿・無尿の分類

乏尿または無尿は、腎前性、腎性、腎後性の3つのタイプに分けられ、腎前性および腎性無尿を真性無尿または分泌性無尿、腎後性無尿を仮性無尿、閉塞性無尿あるいは排泄性無尿とよぶことがあります。

1)腎前性乏尿~無尿

腎の排泄機能を担う最小単位をネフロンといい、腎小体(糸球体と糸球体)と尿細管により構成され、両腎で約200万個のネフロンが存在します。 腎前性乏尿~無尿では、その原因がネフロン以前にある場合で、腎臓は組織学的および機能的には正常に働いています。多くは腎臓の血液供給が減少することにより起こります。病因としては、ショック、出血、心疾患などによる循環不全や、下痢、嘔吐、高度発汗などによる循環血漿量の減少や、血栓形成などによる腎動脈の閉塞などがあげられます。

2)腎性乏尿~無尿

腎臓そのものの障害が尿量減少の原因となっている場合です。腎実質の組織学的変化としては種々の病因による急性尿細管壊死がもっとも多く、そのほかには腎炎、ネフローゼ症候群、慢性腎盂腎炎、水腎症、腎結核、胞腎などがあります。

3)腎後性乏尿~無尿

上部尿路、すなわち両側の腎盂や尿管が閉塞し、尿量が減少した状態をいいます。病因としては尿路病変では結石、腫瘍、炎症性狭窄、手術時の結紮など、尿路外病変としては消化管あるいは骨盤内悪性腫瘍の進展や、リンパ節転移などによる圧迫や直接浸潤などがあります。とくに片方の腎臓を摘出した単腎の患者では、尿路結石や尿路腫瘍により乏尿~無尿になりやすいので注意が必要です。また、先ほど述べたように下部尿路障害、すなわち神経因性膀胱、尿道狭窄、前立腺肥大症などにより尿量が減少する尿閉との区別を忘れてはいけません。

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